「じゃぁさ、あーんして?」


「はっ!?」


見ると、いつの間にか、景ちゃんはラッピングのリボンを解いて、袋のくちを私に向けていた。


…ここから取って私にあーんしろと?


景ちゃんは目をつぶって口をあーと開けている。


うっ…


私は袋の中からチョコを一つ取りだし、恐る恐る景ちゃんの口に入れた。


「ど、どう?」


「ん。美味しいよ。すっごく!」


嘘。美味しいはずなんてないのに。お湯だって結構入っちゃったのに。


それでも嬉しそうに食べてくれる景ちゃんを見て、胸がキュンて跳ねた。


「景ちゃん」


「んー?」


「…好き」


「俺の方が100億倍好きだよ?」


景ちゃんはそう言って顔を近づけてきた。


「んっ…」


あっというまに口の中にチョコの甘い味が広がった。

ねぇ、景ちゃん。


まだまだ料理も言葉も不器用な私だけど。


いっぱいいっぱい練習して、頑張るから。素直にもなるから。


もう少しだけ待っててね?

来年にはもっともぉっと甘いチョコをあなたにあげるねー…