「ちょっと!あんたその態度はないんじゃないの?」


朝っぱらから
クラスの男子を怒鳴りつける。


「何だよ。うるせぇな。」

「うるさいとは何よ!あんたが態度が悪いから注意してるんでしょ?」

「あんだと?!」

「何よ!!」


日常茶飯事に行われる
言い争いだが、

そのたびに女子は息を凝らし、
男子は楽しそうに外野から野次を飛ばす。


「いつまでやってんだ!てめーら!!」


一人の男の声が響く。


「…ああ。竹中か。今頃きたのか。おはよう。」

「竹中。おはよー。」


竹中(たけなか)という男は
クラスの中で一番背が高く、
球技が得意で、
勉強もそこそこ出来るやつで、
クラスのボス的な存在である。


最初にその竹中におはようと声をかけたのが
この私。


佐山美野里(さやまみのり)。


このクラスの女子の守り神みたいなとこかな。
って自分で言うと

…おかしい?


ま、いっか。

そんなこんなで今日のケンカは
一人の男(田中)が女の子(友達の足立さん)
の筆箱を落としたのに気づいたのにも
か・か・わ・ら・ず!!

一瞥してシカトしやがったから
頭きて私が立ち上がったって感じ。


むかつくわー。

結局謝らなかった。
絶対に許さない!!


「もういいよ。ありがとう。美野里ちゃん。」


足立さんの笑顔がまぶしい。


「…納得いかないけど、ここでしつこくしてもエスカレートするだけだろうしね。今日のところは諦めるよ。」



…そうは言ったものの…

まだしっくりきてない。


二度目は無いと思え!

田中を思い切り睨む。


田中もさすがに反抗はしてこなかった。


「はーあ。」


大きくため息をつく。



「…。」

後ろから苦笑が聞こえた。

顔をそらし後ろを見る。



竹中だった。


「何?」


「てめぇは、本当にケンカっぱやいな。」



竹中の笑顔がさかさまに見えた。