俺はそんな顔をする母さんが大好きだった。 そして、母さんにそんな顔をさせてくれる由梨絵も大好きだった。 俺は一人っ子だから東京にいたときはいつも一人。 父さんも母さんも可愛がってくれたけど、兄弟が欲しいと思っていた。 きっと父さんや母さんも欲しかったに違いない。 だから、由梨絵の存在はただのご近所さんではなく、この家では重要なものになっていく。