少し背伸びをして、俺の首の後ろに手をやり
────ッ…
俺の唇に 自分の唇を近づけ、一瞬だけ2人の唇が触れた。
「やめろっ!」
瞬時に肩を突き飛ばしたけど、それに美樹は怯(ひる)むこともなく、今度は 意外なヤツの名前を出してきた。
「昨日 わたしにキスしてきたのは 大地からよ。わたしが言ってることが嘘だと思うなら、ひなちゃんに確かめて見れば?」
「なんで…ヒナに…」
「あの子…あたし達が キスしてるところを黙って見てたのよ。あの年頃の女の子には、ちょっと刺激が強かったかもね」
首を傾げて、楽しそうに話す美樹。
グロスで光っている美樹の唇を見ていると、無性に腹が立ってくる。
自分の唇についたベタッとする感触を手の甲で拭い、挑発するような言動を繰り返す美樹を睨みつけた。
「嘘 言うなっ!」
───だけど…