そして…目指していた場所に着いた。


「どうして礼拝堂に来たの?」


ヒナが顔を上げ、不思議そうな顔で俺の目を見る。


「中に入ってから ゆっくり話すよ」


あの時 はじめてこの中に入った時のことを今でもはっきりと覚えている。


重たい扉を開いていくと、真っ白なその空間の中に神聖な時間が流れていた。



『ここには 神さまがいるから…』



ヒナが言ったように、この中に 俺も目に見えない神さまの存在がいるような気がする。


お前が小さな頃から信じていた神さまの前で…


今からお前が口癖のように言ってお願いしていたことを叶えてやる。


俺たちは2年前と同じように…長いベンチに並んで座り


手を握り合ったまま…目の前にある大きな十字架を見つめた。