あのさぁ…藤崎、今 お前に コイツを泣かせないって約束をしたところだけど


俺…今からヒナを泣かせるかもしれない。



でも 今回だけ許してくれよな?



そんなことを思いながら車を走らせた。


「どうして左に曲がるの?」


「どうしても寄りたいところがあるんだ」


「ダイちゃん ママ達が待ってるよ」


「…あぁ。でも…ちょっとだけ頼む」


ヒナの試験の結果が どっちに転んでも、今夜は ヒナの家で一緒に食事をすることになっていた。


料理好きのおばさんのことだから、試験の結果に関係なくご馳走をいっぱい作って待ってるに違いない。


──だけど…その前に今


どうしても 伝えたいことがあって…ヒナの家の方向とは逆の方向を走っていた。


試験の結果がどうであろうと、お前に伝える…って決めていたことがあるんだ。