ひたすら2人で喜びをわかち合った後、再び車内に戻ると


「ダイちゃん、電話してもいい…?」


膝に置いてある手を触りながら、ヒナが急に呟いた。


「おばさんか?早く連絡してやれよ。きっと お前からの連絡を待ってるだろうし」


「そうじゃなくて…」


「えっ…他に誰がいるんだよ?」


俺の目を真っすぐに見つめ、ヒナが口にしたのは…アイツのことだった。


「アキラ先生に一言だけ、報告がしたくて」


俺と同じくらい…いや それ以上に、ヒナの受験を応援していたアイツ。


それに俺とヒナが こうして、今 一緒にいられるのも悔しいけど


アイツのおかげでも…あるか?