「───ゴメン」


でも またしても拒否された。


俺の顔が近づいてくるのがわかった途端、またヒナは口元に手を当て唇を守った。


瞼をギュッと閉じ、口元を隠したままのヒナ。


その顔を見てると、胸にまた激痛が走る。


ヒナがこんなふうにキスを拒むようになった原因は…俺以外の誰のせいでもない。


「本当にゴメン。嫌な想いさせて…」


「違うの。それだけじゃなくて…」


「…え」


俺が謝るとヒナは、いきなり 手をバタバタとクロスさせ『違うの』と必死に言う。


「じゃあ なんで?」


その問いかけに、ヒナは足元の砂浜に視線を移した。


「1度だけ 先生にキスされたの…」