「クスッ 久しぶりね。会うのは あたし達がキスしているところをあなたに見られた…あの日以来かな?」


動けなくなっているあたしの存在を無視するかのように、髪の長い女性が部屋の中に入って来た。


いつも この部屋に来てるの?


ダイちゃん…違うよね?


また 不安で胸が押しつぶされそうになる。


キッチンに戻ると、そこに彼女が立っていて


あたしが さっきまで切っていた野菜を手に取り、こっちを睨む。


「まだ こんなことを続けて、大地を振り回すつもり?」


「振り回すだなんて…あたしは」


「大地は強そうに見えるけど…本当は傷つきやすいの。大地の背中の傷を…知ってるでしょ?」


この人も あの泣きたくなるような傷を知ってるの?


そのことにショックを受けながらも…黙って頷く。


「じゃぁ 大地が何かを引きずっていて、夜、あまり眠れないことは知ってる?」


「…え」