この日 あたしはダイちゃんの部屋に行かなかった。
でも アキラ先生は避けることができない。
先生は家庭教師として、あたしの勉強を見るため 決まった時間に家にやって来る。
それは 今日も同じで──・・・
今が その時間の最中だった。
「この2番の問題は、この公式を応用すると簡単に解けるから」
「……はい」
いつもと同じようなやりとりに見えるかもしれないけど、今日は全然ちがう。
お互い…隣を見ないし、勉強以外の会話もなくて とにかくよそよそしかった。
「正解。今日は ここまでにしようか?」
「今日もありがとうございました」
本当は先生に聞きたいことがある。
でも どう聞いたらいいか…わからない。
あたしが悩んでいるうちに、先生が席を立った。