「2度と言わねぇからな。ありがとう…ございました」
「クスッ。素直なダイちゃんが好きだよ」
俺の口元から手を離し、ヒナが俺を見て嬉しそうに笑う。
「…恥ずかしすぎる」
「どうして?ちゃんとお礼を言うことは、全然 恥ずかしいことじゃないよ」
大きな瞳をしっかりと開き、柄にもなく照れている俺の顔を正面から見つめ
「ダイちゃん、いい子 いい子…」
腕を伸ばして、ヒナが俺の頭を優しく撫ではじめた。
「やめろよ」
そう言いながらも…
心地よくて、温かくなってくる胸の中。
これもヒナの…変化の1つになるのかもしれない。
時々、母親がするようなことを俺にして見せるんだ。
ヒナの中にある 母性本能ってヤツが、そうさせているのかはわからないけど
こんなふうに泣き虫だったヒナは、最近 少しずつ変わってきている。