「いってきまーす」
家でお留守番をしている父と小3の弟、太陽と、2歳になる美桜に少しの別れを告げ、玄関のドアを開けた。なう。
「ちょっと真白〜!待ってよ〜!」
カッカッカッとヒールを鳴らしながら母さんは走りよる。
「ちょ、ちょっとまって。ハァ、ハァ」
息切れ、早。
そんなこと言ったら絶対にげんこつが降ってくるから口が裂けても言わないけど。
「あんた……早いわね…ゼェゼェ」
「ただでさえ母さんのせいで遅れがちなんだから急がなきゃ」
俺がきっぱり言い放つと母さんは図星だったようで動揺しながら言い返した。
「まっ真白がいけないんだからね!」
…うちの母はいつもこうだから、あえて放置しておくとしよう。