「ふひまへんでひたゆるひてくだはい」
すみませんでした許してください、が母の手によっておかしな言い方になってしまう。
母さんはクスっと笑って手を離した。
……いってぇな。
「早く着替えておりてきなさい。あんた今日から高校生なんだからね。いつまでも甘えてちゃ駄目よ」
……わかってるっての。
独り言を呟きながら俺はタンスから真新しい制服を引っ張り出した。
「高校生……か」
丁寧に制服を広げてみる。
この制服をちゃんと見るのは初めてかもしれない。
俺は部屋着を脱いで、ブラウスに袖を通した。
着替え終わって、全身鏡の前に立ってみる。
そこには、中学生ではない俺がいた。