二人の親友だったというだけあって、話の途中でおもわずその美貌に見とれてしまう。

「刑事さん、美香が死んだことに私が何か関係しているとでもいうんですか?」
「そういうつもりではありません。あくまで手順ですので」
「疑われているのはアヤなんでしょう? 倖太くんがテレビに出てから、私も聞かれましたから」
「何をですか」
「何があったのって。私にわかるはずなのに」

「友達だからわかることもあるんじゃありませんか」
「たとえば?」
「3人だけのヒミツとか」
「面白いですね。刑事さんは女子はみんな仲良しだと思っているんですね」
「大道寺さん。これは殺人事件の捜査なんです。亡くなる前日に、二人は会っていたと思われます。その後連絡はありませんでしたか」
「いいえ。美香の葬式にも出ていません」
「理由をうかがっても?」
「ここは産婦人科なんです。急に東京まで出向けません、患者さんは妊婦なんです」

「もうひとつ聞いても?」
「まだ何か? いい加減にしてくれませんか」
「美香さんが出産したのは故郷だと聞いています。入院した産婦人科をご存知じゃありませんか」
「知りません、さきほど高校を出てから会っていないと申し上げたはずですが」

大道寺レナは悲しそうに目を伏せた。

「美香は誰より優しい人でした」

帰ってくださいと促され、病院を出た。