「あの子、物分りいいですよね」
「……お前もそう思うか」
「キモチワルイぐらいです。妙にグイグイ来る時もあるのに」

公開捜査にして、懸賞金を出そうと言い出した時の倖太の迫力は、刑事をやっている自分を黙らせ、警察とテレビ局を動かした。

死んだのが元トップアイドルで女優、というだけではない。
倖太には人を動かす才能があるのかもしれない。

静かにピアノを弾いて、一人きりの部屋で仏壇に手を合わせる。
それが、本当の姿なわけがない。

もっと明るい、日の当たる場所こそがふさわしい。
被害者が悲しみをこらえて、無理して笑顔を作っているのに、俺たちはなにもできないでいる。

好きだったアイドルの息子ということで、いつも特別に感じていたが、本当は違う。
いつもと同じ、被害者の、遺族の姿だ。

一人きりで戦っている。

「タマテル」
「はい」
「絶対犯人を見つけるぞ」
「はい。カガさんの命令ならなんでもやりますよ!」