テレビ局に挨拶に出向く。
橋本です、と名乗る小太りのプロデューサーがニコニコと名刺交換に応じる。
……ずいぶん、太ったな。
昔はひょろひょろだったのに。

琴音はすぐにスタッフに呼ばれ、打ち合わせに向かった。

「……君」
「はい」
「立花美香さんの、息子さんだよね?」
「はい、そうです。橘倖太です」
「……やっぱり! 昔、君に、頭にカエルを乗せられたことがあるADだよ、覚えてないかい?」

なんだ、向こうも覚えてたのか。
子役としてドラマに出ていた時期に、何度か同じ現場にいた奴だ。