…サラサラした髪が手のひらに触れた。

そうか、琴音の家に泊まったんだっけ……。




ソファでそのまま二人で寝てしまったせいで、背中が痛い。

とんとんと肩を叩いていると、7時のアラームが鳴った。

あ、違う。

着信だ。

「はい、橘ですが」
「おはよう」
「おはようございます、どうしたんですか、こんな朝早く」
「琴音のドラマが決まったの、すぐ連れてきて」

え、受かったのか。

「わかりました、すぐ行きます」
「『Dr.ユキトの殺人カルテ』のミサキ役よ」


琴音を足で蹴飛ばして起こす。

携帯を切ると、まだ寝ぼけている琴音の肩を叩いた。

「琴音ドラマだって! 良かったな!」
「……どれ?」
「『Dr.ユキトの殺人カルテ』のミサキ役だって」
「……なんだって……?」