「優樹菜はお兄ちゃんと仲いいんでしょ?」





「ふぇ?」


肩より下に伸びる茶色の髪をいじられながら聞き返す。


「浅倉先生がいってたんだよ。
仲良しの優等生兄妹だって。」



夕焼けでオレンジに染まる中学の帰り道。

中学になってクラスと帰り道が同じだったことで仲良くなった二人と、今日も下校していた。


早坂 誠

しっかり者で強気な女子生徒。
茶みがかったショートカットが大人っぽくて可愛い。

もう一人は誠の幼なじみ

五十嵐 和海。

いつも寝癖つきまくりでぼうっとしてる。

カズミは、マコトが興味津々に、私に兄のことを聞いてる隣で
マコトの鞄と自分の鞄を背負いながらぼうっと外を見ていた。

「お兄ちゃんと…まぁ、仲良いのかな?」

「なにその微妙な回答…」


私の答えに苦笑いする誠。


そんな誠に、相変わらずぼうっとしながら和海がコメントする。


「なんだ、仲良し兄妹が羨ましいのかよ誠。」

「は?違うしー」


ぺしん、と音をたて和海の背中を叩く誠。

それでも和海は無表情だった。


「誠は兄弟がいるの?」

「まぁね。弟が二人。」

「上手くしつけて召し使いにしてんの。」


ごつん

誠の説明に捕捉した和海が、さっきとはまた違う音で背中を叩かれ(殴られ)た。

荷物を持たされてるというのにしばかれて…

まるで荷物を運ぶ馬のような扱いをされてる。

だけどなんだか微笑ましくて、クスと笑った。


すると


「優樹菜ーっ!」


進行方向
つまり前方から私を呼ぶ声が飛んでくる。