蒼が部屋を出て、すぐに碧が戻って来た。
「ねぇ、答えづらかったらいいんだけど。
葵姉、お兄ちゃんと何かあった?」
え‥。
「明日、蒼と弓道で勝負する事になった。」
「ふーん。
でも、それだけじゃないでしょ?」
葵姉、顔真っ赤だよと碧は笑う。
「蒼に‥。」
やばい、何か恥ずかしいんだけど。
別にやましい事とかないのに。
「お兄ちゃんに?
告白されたとか?」
「何で蒼がアタシに告るの?
違うよ、押し倒された。」
「えーーーーーーーー!?
葵姉、大丈夫だったの?」
パニクった碧を見るのは面白い。
「普通に大丈夫だよ?
よくわかんないけど、何もなかったから。」
「そっか。
お兄ちゃんも頑張ったんだー。」
「何が?」
「別にー?
本当に葵姉って鈍いよね。」
「ちょっと喧嘩売ってんの?」
そんなにアタシ鈍くないし。
「売ってないよー。
まぁ、明日頑張ってね!」
「負けないって、絶対。」
多分、お兄ちゃんが勝ちそうだけど‥って碧が呟いたのは聞こえなかった。
その時は気づかなかったんだ。
明日がどうなるかなんて。