ーパシッ
ーヒュッ
ーパンッ
シンとした道場にその音だけが響いた。
はじめは、二人とも一本外したが、後の矢は外してない。
蒼にだけは、負けたくない。
そういった邪念がいけなかったんだろうか、アタシは8本目に外した。
もちろん、蒼は中ったわけでアタシの負けだ。
実力は五分五分。
だから、勝ったり負けたり。
罰ゲームをつけた時に限って負けるとか、最悪だ。
蒼を見上げると、ニヤッと笑いやがった。
アタシやごく一部にしか見せない、ドSな笑い方‥。
嫌な予感がする。
そういう時の悪い予感は当たるものだ。
「じゃあ、明日から毎日起こしに来いよ。」
‥それだけ?!
「今までもしてるじゃん。
それだけでいーの?」
「おう。」
なんだ。
心配して損した。
ラッキーとか思ってると、上から降ってくる声。
「ただし、お前に男が出来ようと絶対だからな。
お前は、オレのパシリだから。」
どうせ、彼氏とか居たこともないし、別にいーけどさ。
「え?
パシリ?」
パシリとも聞こえたのは気のせいだろうか。
「お前は、卒業するまでオレのパシリ♪」
「え?!
や、やだ!」
無駄な努力だが、一応反抗してみる。
「無理。
はい、決定ー。
負けただろ?」
このドSヤロー。
「うっ。
つ、次!
勝ったら、パシリ解消だからね。」
「勝てたらな。」
また、あのドSな笑い。
はぁ。勝てない。
「帰ろーぜ?
パシリちゃん♪」
ーイラッ
最後に、音符があるような気がしてならない。
「学校とかで、パシリって呼んだら殴るからね。」