オレは翠の部屋に戻り、碧は葵の部屋に戻った。

ーやっちまった‥。

頭に血が上ってつい葵の事押し倒した。

しかも、勝負なんか挑んじまったし。

「蒼兄、どうしたの?
もしかして、姉貴に告ったとか?」

翠はオレンジジュースを飲みながら聞いてくる。

それより悪ぃよ。

「いや、押し倒した。」

「ゲホッ、ぐっ、は、ハァ?」

「汚ねぇな。」

「ちょっ、蒼兄?
姉貴の事押し倒したの?」

「うん。」

多分、翠が想像してんのと違う気がすんだけど。

押し倒したけど、それ以上何もしてねーし。

つーか、出来なかったってのが事実だけど。

翠は意識を飛ばしている。

ちょっと面白い。笑

「おーい、翠。
戻ってこーい!
お前が想像してるようなコトはしてねーぞ。」

「はっ。
え、何もしてないの?
ヘタレだなー、蒼兄。」

さっきまで意識飛んでたくせに。

「逢沢と葵が電話してんの聞いてたら腹立って‥。
気づいたら床に押し倒してた。」

「逢沢って西華の?
へー、姉貴のどこがいいんだか。」

「お前、オレにも喧嘩売ってんだろ。」

「怒んないでよ。
で、それだけじゃないでしょ?」

相変わらず鋭い奴。

誰かさんと違って。

「弓道で勝負挑んだ。」

「二人とも何ヶ月かブランクあるでしょ?
いつなの?」

「その方がフェアじゃんか。
明日だよ。」

「そんなのほとんど運次第じゃん。
蒼兄、負けたらどうすんの?」

オレが負けるわけないだろ?

そのためには手段とか問わねーし。

「‥すげー悪い顔。
まぁ、なんでもいいけどさ。
姉貴の事、泣かせないでよ?」

んな事わかってる。

まぁ、違う意味ではなかせたいけど。

「その顔やめてよ。
マジで怖いんだけど。」

なんか心配になってきた、
と言った翠を無視して風呂場に向かった。

絶対、勝つ。

これだけは譲れない。