「‥なぁ、オレと勝負しねーか?」

しばらく経って、蒼が口を開いた。

「勝負?」

「あぁ。
‥弓道で。」

「もう、アタシたち引退してるじゃん。」

「今週の土日、遠征で泊まりだから。」

そーいえば、この前聞いた気がする。

アタシたちの勝負は、いつも賭つき。

ジュース、アイス、軽い罰ゲームとかそういうもの。

春にやった時は、勝った方の言うこと聞く、だったし。

この前の中間試験の時もそんな感じ。

「まぁ、いいけど。
アタシが勝ったらパシリ解放ね。
蒼は?」

「‥ひみつ。
でも、絶対負けない。
じゃあ、明日。」

それだけ言うと、蒼はアタシから離れた。

「うん、おやすみ。」

部屋を出る時に、覚悟しとけよ?と呟いたのはアタシには聞こえなかった。

そして、柊都との話が途切れたままなのも忘れていた。