キーンコーンカーンコーン‥

「蒼ー!
桜汰ー!」

「夏休み、暇?
海とか行こーよー。」

終わったと同時に蒼と桜汰に駆け寄ってくるケバい女子達。

一気に囲まれてしまった。

まぁ、明日から夏休みだし?

今日中に約束しておきたいってとこでしょ。

アタシには関係ないけど。

「あー、来週から補習なんだよな。
それに、受験勉強もしなきゃなんねーから。」

「オレも色々あるから、ごめんね。」

「えー!
つまんないー。」

二人とも遠回しに断ってるし。

つーか、うるさい。

「葵?
なに、ボーッとしてるの?」

「ん?
なんでもないよ。」

「ねぇ、いつ遊べる?」

「だって、六花は彼氏と遊ぶんでしょー。」

「ちょ、ちょっと!
大声で言わないでよー。」

「ごめん、ごめん。
んー、八月入ってからかな?」

補習あるし。

あ、プールとか海行きたいなー。

「プールとか海とか行きたくない?」

「今、同じ事考えてた。笑」

「マジでか。
あ、葵は花火大会どーすんの?」

「六花は彼氏とでしょ。
アタシは、「じゃあ、花火大会行こーよ、皆で!」

蒼の周りにいた女子の一人が言う。

チラッと隣りの席を見ると、蒼と目が合う。

どーすんだろ。

別にアタシと蒼は付き合ってるわけじゃないし。

ただの幼なじみだし。

「オレ、先に約束あるから無理。」

「「「えー!?」」」

「蒼、彼女いたの?」

「彼女じゃないよ。」

「じゃあ、誰と行くの?」

「‥ひみつ。」

桜汰は?と聞く声と、オレも無理なんだという声が聞こえてきた。

アタシの目の前では、六花がニヤニヤしていた。

「葵、蒼と行くんでしょ?」

隣りに聞こえないように、小声で話しかけられた。

「うん。
賭けに負けたから。」

「へー。
浴衣で行くの?」

「浴衣で来いって言われた。」

「へー。
蒼、頑張るね。」

「なにが?」

「別にー。
じゃあ、今日一緒に買いに行こ?」

「いーよ。」