劇の補助も終わり、只今店番中。

女装の低クオリティもウケて、結構繁盛している。

「葵ー、機嫌直せよ。」

「別に。

機嫌悪くないし。」

イライラするだけだし。←

「もうすぐ店番終わるんだからさー。」

「すいませーん、注文いいですかー。」

「はーい。
何でも奢ってやるから、機嫌直しとけよ。」

そう言って、客の元に行ってしまった。

お客さん、それ男ですよ?

って突っ込みたくなる程、男子に人気な蒼と桜汰。

ニコッと愛想笑いを浮かべ接客しているアイツらは、まるで女。

もう何か心折れそう。

完全に負けたよ。

「葵!
ぼけっとしてないで、これ7番テーブルね。」

厨房係の子に言われて、我に返る。

「あ、ごめん。
持ってく。」

厨房は、委員会とか何にもない子がローテーションでやってくれてる。

アタシ達は、免除して貰ったけど。

「お待たせしました。
注文の紅茶セットです。」

ニコッと笑う。

「ありがとうごさいます。
あ、あの、可愛いですね。」

「ありがとうごさいます。」

また可愛いですか‥。

接客してから、まだ可愛いしか言われてない。

ハァー、疲れた。

「ねぇ、葵。」

小声で六花に話しかけられた。

「なに?」

「この後、4人で回らない?」

「桜汰と二人っきりじゃなくていいの?」

「人多いし、恥ずかしい。
昨日もバレるの嫌で、空き教室でサボってたの。」

サボんなよ‥。

ちょっといじめてやるか。

「へー、それで首にキスマークついてんの?」

ボッと六花の顔が赤くなる。
首を隠そうとする。

「いや、あの、ヤってはないよ。
学校だし。」

「顔赤過ぎでしょ。
じゃあ、4人で回ろっか。」

「うん!」

まぁ4人の方が楽しいから、いっか。

女子に睨まれることもないだろうし。

休憩まであと10分。