ー大会二日目
‥。
大会が終わり、アタシたち3年は放心状態だった。
「‥もっと、弓道したかった。」
誰かがつぶやいた。
その声を聞いた途端、涙が溢れた。
結果は、男女共、地区予選敗退。
団体決勝という空気に負けたのか、県大会出場を逃した。
個人は、アタシと蒼は2位、桜汰は3位だった。
しかし、うちの学校は個人の場合は3年ではなく2年が出場する。
だから、アタシたちは引退だ‥。
ーポンポン
誰かに頭を撫でられた。
振り返ると、蒼がいた。
「‥泣くなよ。
オレは後悔してない。
お前のおかげだ。」
嘘つき。
泣いたでしょ?
目、赤いもん。
「だって、だって、昨日は調子良かったのに。」
うー、涙が止まらない。
「オレは、このメンバーで弓道が出来て良かった。
だから、泣くな。」
「そうだよ。
オレも楽しかったし。」
桜汰‥。
「うん。
葵が誘ってくれたから、弓道出来たし。」
桜汰とも仲良くなれたしねと、小声で付け足した。
六花‥。
「だいたい、引退してもオレらはクラス一緒だし。
弓道だって、したくなったら部活行けばいーだろ。」
蒼‥。
また、涙が出てきた。
「皆、ありがと。
大好きだよー。」
「あ、葵がデレた。笑」
「アタシはいつでも素直だし!」
「へいへい。」
結果は良くなかったけど、もう後悔はない。
このメンバーで、弓道が出来て良かったと思えるから。