葵が窓から出て行って、オレは急いでリビングに向かう。

歯磨いて、顔洗って‥。

あと、10分しかねぇよ。

「母さん、弁当!
ヤバい、遅刻する!」

「はい。
毎朝、葵ちゃんに起こしてもらってるんだから遅刻とかしないでよ。
かっこ悪い。」

「だって、葵が!
漫画読んでて、時間教えないから!」

「グダグダうるさい。
さっさと行ってよ。」

母さんは、見た目可愛い系なくせに、口が悪い。

父さんは、どこが好きになったんだろ。

とか、考えてる場合じゃねぇよ。

遅刻とかしたら、マジで葵に殴られる‥。

「いってきます!」

「遅い!」

案の定、葵は怒ってた。

「悪ィ。
チャリ、後ろ乗っけてやるから許して?」

「当たり前じゃん。早く行こ!」

「おう。」



ーキーンコーンカーンコーンー

「「セーフ!」」

2人して教室に滑り込む。

「セーフじゃねぇよ。
バカども。
アウトだ、アウト。」

後ろから担任にスパーンと叩かれる。

「今年もかよ。
後で職員室な。」

オレらの学校は、三年間クラス替えなしで、担任も基本変わんない。

「いってぇ‥。」

隣では、葵も痛がっていた。

急いだ割に、2人とも遅刻。

しかも、始業式には出れなかった。

なぜなら、チャリがパンクしたからー。

で、家に一回戻った‥。


結局、葵には殴られたし、担任にも説教をくらった。

罰として、放課後に葵と2人で理科準備室の掃除をしなきゃいけなくなったし、マジであり得ねぇ。