葵が窓から出て行って、オレは急いでリビングに向かう。
歯磨いて、顔洗って‥。
あと、10分しかねぇよ。
「母さん、弁当!
ヤバい、遅刻する!」
「はい。
毎朝、葵ちゃんに起こしてもらってるんだから遅刻とかしないでよ。
かっこ悪い。」
「だって、葵が!
漫画読んでて、時間教えないから!」
「グダグダうるさい。
さっさと行ってよ。」
母さんは、見た目可愛い系なくせに、口が悪い。
父さんは、どこが好きになったんだろ。
とか、考えてる場合じゃねぇよ。
遅刻とかしたら、マジで葵に殴られる‥。
「いってきます!」
「遅い!」
案の定、葵は怒ってた。
「悪ィ。
チャリ、後ろ乗っけてやるから許して?」
「当たり前じゃん。早く行こ!」
「おう。」
*
ーキーンコーンカーンコーンー
「「セーフ!」」
2人して教室に滑り込む。
「セーフじゃねぇよ。
バカども。
アウトだ、アウト。」
後ろから担任にスパーンと叩かれる。
「今年もかよ。
後で職員室な。」
オレらの学校は、三年間クラス替えなしで、担任も基本変わんない。
「いってぇ‥。」
隣では、葵も痛がっていた。
急いだ割に、2人とも遅刻。
しかも、始業式には出れなかった。
なぜなら、チャリがパンクしたからー。
で、家に一回戻った‥。
結局、葵には殴られたし、担任にも説教をくらった。
罰として、放課後に葵と2人で理科準備室の掃除をしなきゃいけなくなったし、マジであり得ねぇ。