‥。
部室に入っても、二人共黙ったままだった。
「‥話すの、家に帰ってからでもいいから着替えよ?」
「うん‥。」
それだけ言って、着替えに行ってしまった。
蒼が素直過ぎると、調子狂うよ。
アタシも、カーテンの反対側で着替えた。
*
相変わらず、歩いていても会話はない。
あっという間に、家に着いてしまった。
「蒼の部屋で話そうか。」
「うん。」
家じゃ話しづらいし。
何よりも、蒼がおかしい。
この間とは、別の意味で。
ーガチャ
久しぶりの蒼の部屋だ。
二人でベッドに座った。
「ねぇ、どうしたの?
なんで、そんなにイライラしてんの?」
思い切って聞いてみた。
「‥だってさ、葵は不安じゃない?
負けたら、終わりだぜ。」
打たれ弱っ!
こんな奴だっけ?
いつもの蒼は、ドSで意地悪で、自信があって‥。
「あのさ、皆不安だよ。
もちろん、アタシも。
でも、3年が引っ張って行かなきゃどうすんの?」
「‥。」
「だいたい、蒼が大人しいのとか似合わないし。
いつもアタシにはドSのくせに、本当はガラスのハートかよ。」
ヤバい。
笑えてきた。
「笑うなよ!
ドSは打たれ弱いんだよ!
オレだって、どーしたらいいのかわかんない。
不安なんだよ!」
ーギュッ
アタシは、蒼に抱きついた。
もちろん、こんな事久しぶりだ。
小学校以来だろうか。
あ、この間もベッドで抱きつかれたんだ。
「落ち着いて?
大丈夫だよ、蒼。
一人じゃないんだから。」
アタシは、優しく話しかけた。
いつものアタシじゃあり得ない行動だ。