それから一週間が経った。

葵のことは意識しないようにしている。


日に日に、総体が近づいていた。

3年の間の空気がピリピリしてくる。

もう、二週間もない。


オレは、初めて焦りを覚えた。

弓道に関しても、他の何に関しても、焦ったことなんかなかった。


オレの中で、意外と弓道って大きかったんだ。

イライラしているのが、周りに伝わるのだろう。

後輩はオレに近寄らなくなった。

‥同じチームの後輩までも、話しかけて来なくなった。

それに比例するように、オレの成績は落ちた。

そして、チームの成績も。

副部長としての重圧、期待、何もかもがオレに重くのしかかった。

周りに気を遣われてる、それさえも苦痛だった。



そんなある日、

「蒼。
今日はもうかえっていいよ。
つーか、帰って。」

葵に言われた。

「は?
大会近いのに、帰れるかよ。」

ふざけんなよ。

「蒼がいると、邪魔なの。
頭、冷やしてから来て。」

図星だった。

今のオレは冷静じゃない。

そんな事は気づいていた。


焦れば焦るほど、心が、射が、乱れる。

でも、不安でしょうがない。

オレが黙っていると、

「六花、桜汰。
蒼に話したい事あるから、先に帰るね。部活、よろしく。」

「いいよ。
大丈夫。
お前らが居残りの時は、オレらだけでやってんだから。」

桜汰が返事をした。

少し笑っていた。

「そっか。
じゃあ、よろしくね。」



オレと葵は、礼拝をして道具を片付けて、弓道場を出た。