そろそろ、5時だ。

もう、帰ったかな。

気づかれないように、弓道場を見てみる。

丁度、1年が弓道場から出てきたところだった。

話し声が聞こえる。


「蒼先輩と桜汰先輩いなかったねー。」

オレらの話か。

「全然来ないとか聞いてないしー。」

「本当にガッカリ。
入るの辞めよー。」

「あり得ないー。
蒼先輩たちいなきゃ、弓道とか興味ないしね。」

ガヤガヤ言いながら、ゾロゾロと出て行った。

‥多分、葵の嘘だろうな。

そういうことになってるんだろう。


ーガラガラ

「蒼、桜汰?
もう、いいよー。」

葵が来た。

「おい。
なんで、オレらが幽霊部員みたいになってんだよ。」

「ちょっと心外なんだけど。」

「え?
なんで知ってんの?
でも、そう言った方が、諦める子多いでしょ。」

葵が、ニッて笑った。

コイツ、こえーな。

まぁ、うぜーのが入っても困るからいーけど。


「まぁ、もう帰ったなら部活行くか。」