*
寒い。
なんで、オレ床に寝てんの?
携帯を見ると、午前3時。
とりあえず、ベッドに入ろう。
と思って近づくと、葵が寝てた。
‥なんで?!
一応、起こしてみようと声をかけたが駄目だった。
もう、いいや。
オレも眠いし、寒いし。
つーか、オレのベッドだし。
葵を壁際に押して、オレもベッドに潜り込んだ。
*
「蒼、苦しい。
離して!」
ん、もう朝?
寝た気がしねー。
なんか、あったかいし。
目を開けると、そこには‥。
顔を真っ赤にした葵が、オレの腕の中にいた。
え、なんで?
考えられることは、寒くて無意識に葵を抱きしめたのだろう。
「離してよ!
ほら、朝練行くんでしょ?」
相当、焦っている。
それが、面白くって。
オレのドSスイッチが入った。
ーニヤッ
「えー、やだ。
あったかいし。」
わざと、耳元で言ってやった。
「耳元で喋んないでよ。
くすぐったい。」
あー、面白い。
「なに?
感じちゃった?」
更に、耳元で言う。
でも、いじめ過ぎたようだ。
腹を殴られた。
地味にいてぇ。
「普通、女が殴るか?
あ、女じゃなかったわー。」
「うっさい。
黙れ、ハゲ。」
顔真っ赤だから、全然怖くねーし。
「アタシ、一回部屋戻るから。
準備しててね。」
逃げるように、部屋から出て行った。