ー9時半

オレも飯食って、風呂入って、葵を待つ。

‥眠くなってきた。

ーコンコン

バルコニーに誰かいて、窓叩いてる。

まぁ、幽霊でも不審者でもなく、葵だ。

オレの部屋にも、葵の部屋にもバルコニーがついているから楽に行き来できる。

ーカラカラ

「あれ?
蒼も風呂入ったんだ。
髪、濡れてるよ?」

葵がオレの髪に手を伸ばした。

そのとき、葵の髪からシャンプーの香りがした。

不覚にもドキッとしてしまう。

女慣れしてないわけじゃないけど、顔が熱くなる。

落ち着け、相手は葵だぞと心の中で、自分に言い聞かせる。

「顔赤いけど、大丈夫?」

葵が心配そうに覗き込んでくる。

「わりー、大丈夫だから。
ちょっと、タオル取ってくるわ。」

立ち上がって、顔を手でパタパタと仰いだ。

なんで?

葵にドキドキしなきゃなんねーんだよ。

幼なじみなんて、恋愛対象外だろ。