「俺……父さんとの子供じゃない」
「…………うん」
「母さんと愛人との子供」
全ての始まりは俺が生まれたことだ
「父さんは世間体を気にするから外では実の息子だと言い張った」
「…………」
「家の中では俺は存在しないかのように無視。もしくはストレス発散の道具でしかなかった」
初めは相づちを打っていた詩或だが徐々に無言で俺の話を聞いていた
「母さんからは毎日のようにあんたが生まれたから私は不幸になった。悪魔の子と呼ばれ
父さんには殴られ続けた」
身体が震える
それに気が付いたのか詩或がそっと手を握ってくれた
ほんとに詩或は眩しいほど綺麗な人間だ
本来なら俺は好きになってはならない相手
「母さんは愛人とヨリを戻そうと必死。
父さんはそれが気に食わなかった」
父さんも
母さんも
俺に愛なんてものはなかった
だから余計詩或に惹かれたのかもしれない
周りに愛されている詩或だから
「俺が中学上がって母さんは男と出ていった。父さんは俺にマンションと金だけを与え家から追い出した。
そこで小遣い稼ぎにモデルを始めて今に至る」