何だかんだこの家族が好きだし
居心地が良いから安心してたんだ
「夕食食ったら帰るの?」
「はい。明日早くから撮影あるので」
「どう?モデルのトップは」
「忙しいです」
俺の家族のことなんて
忘れていた
いや、
思い出さないようにしていたんだ
この暖かい家族の記憶でいっぱいにしたかったから
夕食を食べ終えた俺は真っ直ぐ帰宅せずスーパーに寄った
もしこの時スーパーに寄らなければ
あんなことには
ならなかったのかもしれない
「お……トマトが安い」
「…………架也?」
え…………?
トマトに移していた視線を上げる
するとそこには
「な…………んで」
「あなたに会いに来たのよ」
1人の女がいた