「見るな」

「……へっ」

「目障りだ、見るんじゃねぇ」

「?!」


 これには隣にいた明も目を丸くした。

 寺本くんの冷たさを目の当たりにして、ビックリしたんだと思う。

 私もビックリした。

 同時に悲しくなって、涙が込み上げてきた。

 泣いちゃダメだと思っているのに、涙は溢れ出してしまって……。

 私は涙を隠すように前屈みになりながら、教室を飛び出した。

 後ろから明が寺本くんと言い合っているのが聞こえたけれど、何を言い合っているかまでは分からなかった。