ふるふる、首を横に振る。


「私の方こそ……ごめんなさい。えと、……千尋、くん」


 名前を呼び慣れていないのもあって、寺本くんの名前を呼ぶ際、身体が熱くなるのを感じた。

 声も震えてしまって、なんだかみっともない……。

 おそるおそる、そらしていた目を千尋くんに向けると、千尋くんはその場でかたまってしまっていた。


「ち、ひろ、くん?」

「……やべ」

「え?」


 千尋くんはゆっくりと私に近付いてきて、おまけに顔も近付けてきて……。