「お前は笑顔の方がいい。だから、泣くな」


 え?


「だって、寺本くん、いつになく、冷たい、し……」

「……わりぃ」


 寺本くんは自分の髪を掻き乱し、悲しそうな目を私に向けた。


「……こんなことで、勝手に1人で怒るなんて俺らしくねぇんだけどよ」

「寺本、くん?」

「俺達……付き合っている……んだよな……?」


 その言葉、私が聞きたいよ。

 でも、付き合っていることに変わりはないから、私はうなずいた。