「話が済んだのなら、コイツは返してもらいますね」

「えっ?!」


 戸惑いを隠せないでいる里倉の手を掴み、その場を去ろうとした。


「はっ?君らはもう別れたんでしょ?その子はつい先程、俺のモノになったんだけど?」


 やっぱり俺がいながら里倉は浮気をしていたのか?

 いや、違うか。

 彼氏が彼女を信じてあげられないでどうする?

 里倉は何も悪くない。この男が勝手に人のモノに手を出しただけだ。

 なのに、俺は……里倉に冷たい態度をとってしまっていた……。

 最低だといわれても、文句は言えないな。