バスの車内は相変わらずにぎやか、
いや、騒がしかった。
私はあいにく1番仲の良い友達と席が
離れてしまって、その子と話すには
後ろを向かなければいけなかった。
「ねーねー!百佳ー!」
仲の良い友達というのは、佐藤百佳。
同い年で、家も近くて、パートも一緒。
でも百佳は、祐樹君の1つ前の席だった。うわーっ!ズルい!
その時、胸がギューッと締め付けられるような感覚をおぼえた。
えっ?あれ?なにコレ?祐樹君の事
好きなわけじゃないのに…なんで…?
「…ずき!みずき!何?どしたの?
悲しそうな顔しちゃって!」
えっ?悲しそうな顔?
「みずき聞いてる?今日何か変だよ?」
私と百佳の席はすごく離れていたし、
百佳は元々声が大きいから、その会話は
バスの車内中に聞こえた。
周りでは皆がクスクス笑ってる。
もー…百佳声デカイ…
その時、また、祐樹君と目が合った。
うわーっ!恥ずかしぃ!!
ダッサい所見られたー!もうやだよー!
その時、祐樹君が、元々優しい顔を
もっと優しくして、こっちをみて
ニコッと笑ってくれた。
えっ?あっ、あたし?
違うよね!他の人に笑いかけたんだよね?
「今日のみずきホントおかしい!
なんかあったの?」
また皆がクスクス笑ってる。私も思わず笑ってしまった。
「えーっ、そんな事ないよー!
大丈夫ー^^;てか声大きいよー!」
私は少し小さめの声で百佳に言った。
「なら良かったー!安心安心。」
「ありがとう。心配してくれて。」
そんな会話をしているうちに、
渋滞していた道路もあっという間に進みパーキングエリアに着いた。