いきなり突き飛ばされた事にビックリしたのか、冴城君が呆然とした表情で私を見ている。


私は何も言う事が出来ずに、唇を噛んで俯いていた。


好きになった人に告白されたのに、その人は本当は別の人が好き。


しかもその相手は、自分の双子の妹――――…様々な感情が頭を支配して、体が動かない。


さっきまで幸せで潤んでいた目が、今度は深い悲しみで視界が歪み始めた。


「オイ、田薮お前どうしたんだよ?」


俯きっ放しの私を変に思ったのか、冴城君が私に向かって右手を伸ばす。


――――パシン!


乾いた音が、図書室に響いた。