「あ、あの冴城君……」


小刻みに震える唇をどうにか動かし、ちゃんと私も自分の気持ちを伝え様とした。


その瞬間――――…



「だから……オレとつき合って下さい、田薮…………“光”」




今の今まで最高に高揚していた心が、一気に奈落の底まで突き落とされた気がした。


「………えっ?」


一瞬なんで私が妹の名前で呼ばれたのか分からず、間の抜けた声が出る。


だが……すぐに気づいた。


今の私は髪はウィッグでロング、制服は光の中学校の制服。


そして“田薮 光”として、今私を抱きしめてる人に勉強を見て貰ってた。