慌てふためく私に、まだ低い声で返す冴城君。


「なっ、そんな困るよ!!ずっと待ってたのに!!5日間数学見てくれるんじゃなかったの!?」


私は勢いで机の上に置きっ放しになっている勉強道具達を指差して訴えたけど、すぐに後悔に襲われた。


私何言ってるの……冴城君は自分の時間割いてまで勉強教える係引き受けてくれたのに、『困るよ』って……


しかも私は冴城君に数学教えて貰えなくっても、全くダメージが無い人間。


「そうだったけど、急用が出来てそっち行かなきゃいけなくなっちまったんだ。明日はきちんと教えるからさ……」