「ちょっとー、お兄ちゃん、ほんとにその格好で行くのー?」






「行くよ。これでいいんだよ」






「まったくー、たまにデートするときくらい、最近の男の子っぽいかっこ、すればいいのに!!」






「僕は必要性のないことに時間を浪費するつもりはないからね。

そんなことより、聡子」







僕はゆっくりと振り返り、眉根を寄せて聡子を見た。







「………遊園地の割引券なんて、よくもみーちゃんに渡してくれたね。

僕の遊園地嫌いを知ってるくせに、まったく性悪だ。


きちんと反省するように!」







「はいはい、がんばってね、おにいちゃん!」







無責任なエールを贈る聡子の声を背中で聞きながら、僕は玄関を出た。