僕が内心の怒りを必死で抑えつつ、外出着に着替えていると。







「おにーいちゃーん♪」







不気味なほど明るい声が、ドアの隙間から入り込んできた。







「………なに、聡子。

僕は今、着替えの途中なんだけど?」







「うっふっふ〜。

とうとうこの日が来たねえ」







「……………」







「お兄ちゃんと美遊ねえちゃんの、遊園地デートの日♪

んもーどんだけ楽しみにしてたことか!」







聡子が浮き浮きした様子で、僕の前にやって来た。







「………なんで、聡子が楽しみにするわけ………?


僕とみーちゃんのデートなんだけど?」






「そんなことよりさぁ、お兄ちゃん、そんな地味な格好で行くの〜?」







僕の言葉をまるっきり無視して、聡子は僕の頭の先から足の先まで、じろじろと観察した。