その言葉を伝えた瞬間だった。
白良の体が輝き始めた。
「…これは?」
突然の変化に戸惑う少女に、白露は悲しそうに言った。
「お別れだ…白良」
「え!?」
「責め苦は終わった。そなたは天道に行ける」
「そんな、私は…!」
困ったような表情をする白良に白露は疑問を抱いた。
「天道に行けば、そなたの母親にも会えるかもしれぬぞ?何をためらう」
「だって、私…」
(地獄でも良いから、もう少し…もう少しだけ、あなたの傍にいたい…)
離れたくない。
伝えたかった思い。
しかし白良はその言葉を飲み込んだ。
「ううん…。何でもない」
徐々に体が光となって消えていく。
白良は花のような笑顔で言った。
「愛してくれて…ありがとう、白露…」
そして白良は消えた。
光の泡は天へと昇り、白露から遠ざかる。
「礼を言うのは、我の方ぞ…」
(冷酷と言われた我に、愛情を教えてくれた…)
我だけの愛しい花よ…。
〈END〉