「お悔やみ申し上げます」
やって来たのは、なんと被害にあった娘、椿だった。
「そんな…椿さん…」
どう返事をすれば良いのか戸惑う白良に、黒髪美人は優しく言った。
「私の両親があなたに酷いことをして、ごめんなさい。私はもう、あの日のことは忘れることにしたから…」
白露は目深に被った被衣の隙間から椿を睨みつけた。
「こちらこそ、父が…その…すみませんでした…」
「泣かないで。終わったことよ。私、あなたと友達になりたいの。前からあなたのことは和矢と宗二に聞いて知ってたし…」
そして白良にある物を渡した。
「お団子、好きなんでしょ?持ってきたの」
笹の葉に包まれた団子。
白良は笑顔で受け取った。
「わざわざ、ありがとうございます」
「うちのお団子も結構おいしいのよ。後で食べてみて」
それから彼女は立ち上がった。
「暗くなる前に帰らなきゃ。また来るわね。じゃあ、お邪魔しました」
帰り際まで笑顔を絶やさなかった椿。
白良も笑顔で手を振り見送ったものの、罪悪感で心はいっぱいだった。