翌日の昼過ぎ。
朝っぱらから父親探し任務に勤しんでいた千尾丸が白良の家に駆け戻ってきた。
「白良!旦那!見つかりやした~!」
「何がですか?」
よくわかっていない白良に対して、白露は薄く微笑んだ。
「白良の父親だ。千尾丸に探させていたのだ」
「え!?お父さんが見つかったんですか!?」
「それが…」
渋い表情の千尾丸に白露は悟った。
「死んでいたか…?」
「嘘!?お父さんが、そんな!」
「残念ながら、旦那の言う通りです。枯れ井戸から死体が出てきやした」
父親の死に言葉を失う白良。
飲んだくれで罪人でも父親なのだ。
その死は受け入れ難く悲しい。
泣き出しそうな彼女の横顔を見つめながら、白露は尋ねた。
「血生臭い理由はそれか…。そんな場所では見つけ難いわけだ。千尾丸、そなたが発見者か?」
「いんや。椿って娘です。ほら、被害にありやした…」
「そうか…。よく見つけたものだな。さて、誰が殺したのやら…」
楽しそうに喉を鳴らす。
「宗二って奴ですかね~?昨日、白良を襲ったんでしょう?」