白露は少女の声に引き寄せられるように戸を開けた。

「白良!!」

突然の邪魔物に慌て出す宗二。

「そなた…どうしてくれようか…」

宗二の首を掴み締め上げる。

「あっ…かっ…!!」

苦しげに空気を求める宗二。

「や、やめて!!殺さないで!」

白良の声を聞き白露は手を離した。

「白良に免じて生かしてやる。まだ生きられることに感謝するんだな。白良がいなければ、そなたは今頃地獄行きだったぞ…」

宗二は恐怖と怒りに震えながら転がるように出ていった。


「あの…白露さん、ありがとうございました」

千切れた衣服の胸元を隠しながら礼を述べる。

そんな彼女を白露は力強く抱きしめた。

そして柄にもなく取り乱す。


「我を呼べ!そなたを助けられるのは我だけだ!!」


「白露さん…」


びっくりしている白良に今度は静かに言った。

「“さん”などいらぬ。“白露”と呼べ。先程のように」

美しい金色の瞳が訴える。


「我を呼べ」と。


「…し、白露…」


顔を真っ赤にして囁く白良。

恥じらうような彼女の表情を見て、ドクンと高鳴る白露の心臓。


(ん…?何だ?)