宗二は力任せに白良の服を引きちぎる。
「ま、待って!やめて宗二くん!」
彼女の悲鳴が漏れることを恐れ、宗二は足で勢いよく開いていた戸を閉めた。
あまりの勢いの良さに、スライド式の戸は跳ね返り、わずかな隙間を作る。
「俺は椿が好きなんだ!!守ってやりたかった!!けど…もう遅いんだよ…!」
「そ、うじ…くん」
目の前の恐怖に、身体が不自然なほどガタガタと震える。
「お前にも味わってもらう!椿の苦痛を!!」
「いやああぁぁぁ!!」
露わになる白い肌。
男の力に抗えず、されるがままになる白良。
「やあぁ!!和矢くん!助けて!」
「かず兄は来ないさ。残念だったなっ」
白良にはわからなかった。
幼なじみだと思って仲良くしていた宗二はどこに行ったのだろう。
これが彼の本性なのだろうか。
(コワイ…)
恐怖しか抱けない。
(助けて…)
少女は涙を流しながら、小さく呼んだ。
恐かった時、唯一彼女の名を叫んでくれた優しい鬼。
「…しら、つゆ…」