そんな白良の答えを聞いて、白露はおもむろに笑い出した。

白良と千尾丸はその笑いに恐怖を覚えた。

地獄の底から響いてくるような笑い声。


「白良…」

笑い終えた彼は少女に近づく。

ゆっくりと。

ひっそりと。


「だ、旦那…」

白露のただならぬ様子に千尾丸が口を開いた瞬間だった。

「ぎゃ!!」

千尾丸は勢いよく窓から外に放り出された。

白露によって。

「千尾丸さん!?」

「うるさい狐め…」

邪魔物を排除した鬼は少女を見据える。


「そなたは愚か者だ」


「え…」

困惑する白良を素早く床に押し倒し、喋り出す。

「人間はすぐに血を流す。そして死ぬ。地獄の亡者どもはそれで良い。またすぐに再生されるからな。だが…そなたは亡者ではない」

白露は先程の彼女の言葉を思い出し、鼻で笑った。

「迷惑?己の問題?打ち所が悪ければあの世行きだったかもしれぬのにか?あの場は我に任せて、村人達を殺すのが最善の策だったろう…」

彼女の顔の傷口にそっと触れる。

痛みで顔をしかめる白良。