「白良~、良かったですね~!家からは追い出されずに済みやした~」
村人達が帰っていった後、千尾丸は白良の傷の手当てを手伝いながら言った。
「うん…とりあえず、ここにいられる…」
顔の傷から滲み出る血を拭い安堵の溜息。
「我は納得いかぬ」
白露は白良を真正面から睨みつけた。
「なぜ我と千尾丸に助けを求めなかった?」
「それは…」
ためらう白良。
しかし、意を決して告げた。
「私の問題だからです。私のことで二人に迷惑は…かけたくなかった…」
誰にも嫌な思いをしてほしくない。
自分一人で解決できるなら、それが一番良い。